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本の紹介 「硫黄島 栗林中将の最期」

 本書は、筆者の話題作「散るぞ悲しき」の完結篇、並びに、番外篇とも言へる多彩な力作五篇からなってゐる。どれも甲乙つけ難い作品ばかりであり、それぞれに籠められた意図によって作品が立ってゐると言っていいと思ふ。

 ドキュメント1は、栗林忠道中将の最期をめぐる異説に対する論証の作品である。中将の最期を見届けた人がゐない間隙に諸々の事情から「ノイローゼ→投降→部下による斬殺」といふ妄説が出来上がったわけである。結論的には、武人としての誇りを全うした見事な最期といふオーソドックスな答に落ち着いた形である。

 ドキュメント2と3は、三人の将校とバロン西の肖像を描いてゐる。華やかな場面だけでない埋もれた事実を掘り起こさうとの筆者の努力が光ってゐる。三十代の社会人が召集で硫黄島に呼び寄せられた事実、家族の哀惜の念、部下家族へのあふれる愛情は胸つまる思ひで読ませていただいた。

 ドキュメント4は、異様な人肉食事件の背景と状況にアプローチしてゐる。次は自分達の番だとの屈折や十分な力の発揮できない環境での事件であったが、かなりショッキングな内容である。深層へのもう一越えの肉薄があるともっとよかったかもしれない。

 ドキュメント5は、皇后陛下の戦歿者と遺族に対する敬敬虔な祈りの実相を解き明かしてゐる。

どれも戦場の真実を冷静に瞠め、受け止めようといふ謙虚な姿勢に満ちて居り、とても感銘深かった。

(千葉県在住 40代 男性)
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