連合国によるポツダム宣言から終戦にいたるまでの、当時の日本政府の状況を、特に軍と政府の間で苦悩する三船敏郎扮する陸軍大臣阿南大将を軸に、見事に描いています。
並行して、戦争続行を唱えクーデターを画策する陸軍青年将校の動きを併せ描いています。あえて白黒作品にすることで、迫力ある映画に仕上がっています。三船敏郎の他、海軍大臣米内大将を山村聰、鈴木貫太郎首相を笠智衆等、豪華キャストです。
戦争終結に向けての最終局面での日本政府の動きを知るうえで、大変参考になる映画だと思います。
また、それらを中心にすえながら、東部軍や青年将校達に動員されてしまう近衛師団の状況、海軍厚木航空隊や終戦直前に本土に接近する米機動部隊を迎撃に向かう特攻隊の様子、さらに、狂信的な一陸軍大尉に指揮され、首相官邸や私邸を襲撃する彼の後輩に当たる若者達等を合わせ描いており、興味深く鑑賞できる映画だと思います。
ただ一つ残念なのは、これはフィクションな場面のはずですが、戦争終結に邁進する宮口精二ふんする東郷外務大臣に、俗に神風特別攻撃隊生みの親といわれる当時軍令部次長大西瀧治郎中将が、半狂乱になって戦争続行を意見具申するシーンがあります。ほんの10数秒のシーンですが、終戦直後にその責任をとり、割腹自決した大西中将自身やその遺族には、大変失礼だなと感じました。
(50代男性)
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