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玉砕の島の慰霊碑が泣いている ≪6≫

-この記事は「諸君」2007年8月号から転載しています。執筆者は笹幸恵さん-


「中韓の口封じにも」

 日本も、海外に慰霊碑やメモリアルとしての施設を建立できないものだろうか。建立場所の取得、対日感情への配慮など、乗りこえるべきハードルは多いが、試みる価値は充分にある。

 私は何も日本人戦没者だけを手厚く慰霊しようと言うのではない。
太平洋の島々を巡って思うのは、もやは戦没者に敵も味方もないこと、そして多くの現地住民たちを戦争に巻き込んだというまぎれもない事実である。素人考えかもしれないが、現地住民のニーズに即した施設などを併設して、国が慰霊碑を建立するのも一つの方法ではないかと思う。 

 そうして慰霊碑を日本人だけでなく、かつての敵国や現地住民の戦没者をも含めたものにして、毎年合同の慰霊祭を行うことを提言したい。ガダルカナルにおいては日本とアメリカとソロモン諸島が、ニューギニアでは日本と米国とオーストラリアと地元パプアニューギニアが、インパールでならば、日本とイギリスとインド、シベリアにおいては日本とロシアといった具合である。

 戦後六十余年、平和を維持してきた日本にとって、かつての敵国は今は友好国となっている。また、私が巡った太平洋の島々では、漁業を通じて日本と繋がりが深い国や、日本のODAによって飛行場が改築されるなどインフラ整備で一定の効果を上げている国々もあり、敗戦にもめげず復興を遂げ、経済大国になった日本に対し、畏敬の念を持っている国が少なくない。

 それらの国々に呼びかけ合同慰霊祭を、日本がイニシアチブをとって行うことに問題はないはずだ。さらなる友好親善のセレモニーの一つとなると同時に、戦後一貫して平和を祈念してきた国家としての姿勢を、諸外国に示す一助にもなるだろう。

 私が慰霊巡拝の旅を共にした戦友会などの民間団体では、実際に現地の学校に文房具を寄付したり、子どもたちに日本のお土産を持参したりと、文字どおり草の根交流につとめている。また、長年、パプアニューギニアからの独立運動を続け、二〇〇五年に特別自治州となったブーゲンビルの初代大統領ジョセフ・カブイ氏が、戦友会の招聘により昨年十月に来日した。

 ブーゲンビルは、山本五十六長官機が前線視察中に撃墜された島でもある。このとき大統領一行は靖国神社と千鳥ヶ淵墓苑を訪れ、日本にこうした施設があることに感激していた。そして「今も島に眠る戦没者の遺骨収集事業と、遺族たちの慰霊巡拝の旅を安全に行われるよう最大限の協力をしたい」と語ってくれた。

 一週間におよんだ滞在期間中、私も数日間、彼らと行動を共にした。彼らは新幹線から見える富士山に喜び、秋葉原で買い物を楽しみ、浅草を散策した。帰るころになると、彼らの方から現地で日本人が旅行をしやすくするための治安維持とインフラ整備について、いろいろなアイデアを出していた。民間団体でもこれだけ友好と親睦を深める事業を行うことができるのだ。それが国家単位なら、何をかいわんや、である。

 中国・韓国の主張が「外交カード」である以上、どれだけ日本が謝罪しても、結局は相手国の事情によって問題は蒸し返される。そのことはこれまでの経緯を見ても明らかである。ならば靖国神社に向けられた慰霊の心をさらに海外にも広げ、友好国とともに合同慰霊をつづけてみてはどうか。そうして少しずつでも日本人が平和を祈念する姿勢を諸外国に知らしめてゆけば、やがて中国や韓国は、靖国神社参拝問題だけをとりあげて奇妙な言いがかりをつけるわけにはいかなくなる。その時々の状況で場当たり的に切られる「外交カード」と、我々日本人の衷心からの戦没者への哀悼の意とどちらが一貫性をもつか。身をもってその差を世界にアピールしてみてはどうか。
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[C10] こんばんは

そうですね、その地で亡くなった敵味方を問わず慰霊するという形、これが未来に向けての慰霊の形でしょうね。
わけ隔てなく慰霊することによってお互いの理解が深まればこの上なくよいことなのですから。
中・韓に靖国神社の問題でくちばしを入れられるのは大変不快なことです。しかし、かつての敵と味方にわかれたどうしが一緒に手を合わせ戦没者に祈るという姿を見せればだんだん文句も出なくなるのではないかと思いますね。時間はかかるでしょうけれど・・・。
それにしても思うのは日本は「英霊」に対して冷たすぎますね。こういう国はほかにないと思いますが・・・?

[C11] Re: こんばんは

私はつい最近、日本は戦争が終わったあとに、相手国の慰霊碑建立などを先にしていたということを知りました。たぶん、大東亜戦争より前の話だったと思います。

武士道の精神?かな。戦った相手に対して敬意を表すといいますか・・・・

大東亜のときは、原爆などのショックが大きすぎてなんとなく日本の心がうやむやになってしまい、それがネガティブスパイラル?に陥ってしまったのではないかと自分ひとりで勝手な解釈をしています。

慰霊碑保全に関しては、難しくってここでは言い尽くせないのですが、とりあえずはみんなに知ってもらい、一緒に考えてもらいたいなあ~、なんて思っています。

答えになっていなくてすみません。。。。
  • 2011-01-28 01:59
  • sakura
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