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玉砕の島の慰霊碑が泣いている ≪5≫

-この記事は「諸君」2007年8月号から転載しています。執筆者は笹幸恵さん-


「友好国との合同慰霊祭を」


ここ数年、国内では國神社への参拝問題について盛んに議論がなされている。
日本の首長である総理大臣が國を公式参拝するのは当然であり、周辺諸国からの批判は内政干渉にあたるという意見。
いや、周辺諸国の被害感情を慮って参拝を取りやめるべきだとの意見。

小泉前首相は、「二度と戦争を起こしてはならないという気持ち」であり、「犠牲者に対して心からなる尊敬と感謝の念」をもって國神社に参拝していると述べた。

しかし、そうした意見がかえって中韓を刺激し、日本人の自然な感情に基づく戦没者の追悼とは異なる方向にまで問題が飛び火してしまっている。

前出の古賀誠氏は、

「私の父は遺骨さえ帰ってきていません。
届けられた骨箱の中には、戦死の場所と日付を記した紙が一枚入っていただけです。

これだけの経済大国になったのに、遺骨がまだ百万柱以上も戦場に埋もれ、慰霊碑が朽ち果てるに任せている。
そんな国が、あっていいのですか。そんな国が、他国からの尊敬を得られますか。

これを弔い、祈りを捧げることが文化ではないでしょうか。

国や、あるいは島ごとに、まとめてきちんとした慰霊碑を建立すべきです。
遺族会の会長として、私は、この問題を絶対に解決しなければならないと思っています。」

と決意を語っていた。

個人的な話になるが、私の伯父はナウル島で戦死している。海軍の横須賀鎮守府第二特別陸戦隊(横二特)の主計兵で昭和十八年十二月九日、米軍の艦砲射撃により戦死した。

二十一歳になったばかりだった。このときの艦砲射撃によって死亡したのは、伯父一人だったようだ。

なぜそうした状況が判明したかといえば、戦史叢書(『中部太平洋方面海軍作戦<2>』)に、この艦砲射撃によって、「戦死一名」という横二特の報告があったと掲載されていたからだ。

「伯父は運が悪かったのだ」とつくづく思う。「なぜ伯父だけが」という恨めしい気持ちも湧く。

しかし戦死一名だったならば、仲間によって丁重に弔われたのではないだろうか。
いや、そうであってほしい。

それがせめてもの救いだと、私は自分に言い聞かせている。

昨年は祭神調査(國神社に祀られている祭神の照会)を依頼し、昇殿参拝を行った。
あくまで伯父に対する追悼と慰霊の気持ちからであるのは言うまでもない。

自分の経験に照らし合わせてみても、遺族感情はともかくとして、A級戦犯が合祀されていることを理由に「靖国神社参拝=軍国主義の復活」とする中国・韓国など周辺諸国の論理は、荒唐無稽のごとく映る。

A級戦犯合祀問題とそれに伴う遺族感情は、国内問題である。周辺諸国にとやかく言われる筋合いのものではない。

だからこそ、私を含めごく一般的な日本人は、「A級戦犯合祀を理由に國神社公式参拝に反対するのは内政干渉である」という保守派の意見を理解できるのではないだろうか。

しかしこれは、日本人の一種の宗教的感情に根ざしてもいるため、他国の人々が理解しづらいのも事実である。

また、A級戦犯の合祀に政治的利用価値がある限り、内政干渉だとかたくなに撥ねつけているだけでは、議論はいつまで経っても平行線のままだ。

加えて言えば、周辺諸国の被害感情のほうが、国際的に支持されやすい面があることも事実である。
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